ひとつ、お詫びしないといけないことがあって、ずっとずっと機会を探っていました。
それに気づいたのはある日のマッスルハウスの中で、ひとりの男が青い顔をしながら言ったのです。
「カレー屋のメニュー持って帰ってきちゃった」
彼が差し出したクリアファイルの中には、そこそこいい紙に印刷された「夏限定カレー」の紹介カードが。
そこで私もはっとしました。
今年の夏、彼とは大阪の靱公園に近いカレー屋で少し遅いお昼をとったのですが、その時カバンから複数の冊子を取り出し、テーブルに広げて話し合いをしていました。
メニューごとカバンにしまっちゃったかー。
その瞬間、ホテルの備品を勝手に持って帰る中国人の話とか、サウナの砂時計を何者かに持ち去られて困っている奈良の風呂屋さんのツイートなんかを次々と思い出して、わざとじゃないにせよとんでもない過ちをおかしたと自覚しました。
もう12月になろうというのに、「夏限定カレー」のメニューを携えてコミッショナーとやってきたのは「スパイスカレー43」という、カレーエキスポでグランプリを獲ったこともあるお店。
チキンキーマとポークカレーのあいがけを頂いてから、会計時にこの件を申告し、ようやくこのメニューを返還できました。
お店の大将は優しくて、気にせずまた食べに来てほしいと言ってくださいました。
「黙ってればわからんかったのに」と笑われていましたけど、僕は今、とても達成感に満たされています。
もう夏じゃ無いからと言ってほっとかなくてよかった。郵送なんかで済ませずに直接謝りに行ってよかった。当たり前すぎてアホ丸出しですけど、やらかしたことに対しては必ず正直でありたいと思います。本当にすみませんでした。あと、また食べに行きます。