もうあれから5年……いや、まだ5年しか経っていないのか、とも思います。
奈良盆地の空にブルーインパルスが舞った日、第51回奈良県立大学秋華祭は、大雨に見舞われつづけたそれまでの3年間とはうって変わり、秋晴れのもとに華々しく幕を開けました。
この日はマッスル鍋が初めてイベントに参加し、短い時間で200食近い鍋を振る舞った、ひとつのターニングポイントのような1日でした。今までの人生で一番楽しかった日だと言っても、まったく大げさではありません。
何度も言うように、マッスル鍋の原点は学祭の実行委員2人が「前夜祭の前夜祭」として始めた鍋です。3回生で実委を引退したとき、翌年は鍋の模擬店を出そうという目標が生まれ、1年も前から他学の学祭を偵察に訪れました。
たとえば教育大の輝甍祭では水泳部が毎年鶏鍋を出していて、それは1人に1つずつ小鍋まるごと提供する「完璧な鍋」スタイル。理想的ではあるものの、店を回せるだけの数の小鍋はさすがに用意できません。実際の会場で必死の鍋洗いに追われる部員を見て、お椀で出すスタイルに決めたのでした。
当日のテントです。初代ロゴはこのときにお目見えしました。吊るされているのは実委のユニフォームで、「安心の実委OBの店!」とか言ってた記憶があります。なにが安心なんだか。
数少ない机や椅子は借りられるだけ借りて、イートインスペースとしました。会場に座って食べられる場所が少ないことは実委時代に把握していたので、気が利いているアピールをと思ったのですが、これが途中で増席するほど大好評。盛況の理由は、案外この「椅子」だったのかもしれません。
学祭広報担当OBによる掲示物は、ロゴのイメージに沿った、統一感のある力作です。特定原材料表示をした模擬店は後にも先にも自分たちだけだろうと確信しています()
献立は昆布だしベースで白菜や鶏肉を煮るシンプルなものにしました。そういえば当時は白菜が高騰していて、白菜を食べるために来てくれた人もいたっけ。
まもなく淡路牛が入ります!200円で幻の超高級和牛が食えますよ!このチャンスをお見逃しなく!! pic.twitter.com/ffH0hlIvnT
— マッスル鍋 (@muscle_nabe) 2016年11月6日
シンプルだからアレンジがしやすいってことで、この鍋には淡路ビーフやうどんなど特定の具材が入る「サービスタイム」を設けました。お椀で出すスタイルだからこそできる、鍋らしいイベントでした。
お鍋は夕方を前に具材が尽き完売。模擬店投票経過がとんでもないことになっている、と聞いたのは祭の終わりが近づいたころでした。だいたいこの手のものは組織票ありきの出来レース。この日も最終結果はたしか缶ジュースを売っただけの部活が1位でしたが、実力でそれに迫る健闘を見せたのでした。
5年が経ったいまも、この時期独特の、空の高い晴れの日に奈良にいると、学祭前後のせわしないけど楽しかった時間を思い出します。同時に、去年、今年と本来の形ではない開催を強いられている秋華祭へ、思いを馳せずにはいられません。