muscle_nabe’s blog

奈良と鍋を愛するマッスル鍋の公式ブログです。

栄湯とマッスル鍋の2年ちょい

前代未聞、風呂屋で鍋をした伝説の日に先駆けること1日、2020年の2月22日夜に、鍋軍団ははじめて五條の銭湯「栄湯」に浸かりに行きました。

明日の鍋よろしく、の挨拶的にみんなで行ったんですが、その時から大将は、もう風呂やめるし、最後の思い出づくりやと話していました。

奈良市からも車で50分はかかる五條。あれからこんなに通うとは、こんなにハマるとは思ってなかったのです。

・2020年8月8日


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鍋から半年後、「まめすず」のお菓子を持って再訪しました。半年も空いたのは未知なる感染症にビビりまくっていたからです。さっぱりした後は、近くの粉もん「いのうえ」で、餃子の入ったお好みを食べるなどしました。未知なる味でした。

・2020年12月31日


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奈良よりも南の五條が銀世界なんでびっくりしたもんです。大晦日なのに、大将は熱々の湯を沸かしてくれていました。爆速で温もった記憶があります。

・2021年2月14日


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栄湯が『ちちんぷいぷい』で紹介されて、関西一円から人が来ていると大将も嬉しそうでした。帰りはずっと気になっていた「ミスター博」に行ってやきめしを頼みました。美味かった。

・2021年4月3日


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だんだんと月参りのように。おかみさんからフキの佃煮をいただきました。絶妙に甘辛くて美味しかった。ここ来たら珍しい食べもんいっぱいあるからなと、おばあちゃんの家に来た時みたいなことを言われました。

・2021年6月19日


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梅雨真っ盛り、雨上がりの五條へ。大将が見たこともないTシャツを着ていました。「それ何ですか?」『息子が作ったんや』「ほしい!」すぐ発注。届くまで1カ月ほどの待ちぼうけ。カランの水がキンキンに冷えてて気持ちいいです。さすが金剛山の水です。

・2021年7月10日


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この日は電車で五條まで。乗り換えが3回もあります。県内から県内なのに大変めんどくさいです。でも車窓はのどかで、栄湯までの道のりだと思えば癒しかもしれません。頼んでいたTシャツと、いつもの缶コーヒーをもらって帰ります。

・2021年8月28日


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高校野球の決勝でついに「智弁智弁」が実現することに。智弁学園の地元五條民も「とりあえずどんなんか見てみたい」と楽しそうでした。夏モードの暖簾がいい感じ。おかみさんから今度は手作りの柿の葉寿司をいただきました。開けたら炊いた松茸が乗っていてびっくりしました。

・2021年9月26日

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常連と不意に、このロッカーの漢数字の字体めちゃくちゃクセあるなって話になりました。誰かが手彫りしたんでしょうか。『旅先銭湯』の松本さんが寄稿したウェブマガジンがよく読まれていて、またちょいちょいよそから人が来るようになっていました。

・2021年11月21日


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「今年はいうほどなってない」と聞いていた五條の柿。栄湯に行ってみたらなんですかこの数は。番台にも傘立てにも、びっくりするほどデカい柿が置いてありました。大将がどこかに行った隙に、持ってってええよと常連に言われたけどやめときました()

・2022年1月4日


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ハッピーニュー五條。それにしても寒かったです。大将も今年は寒いどとボヤくほど。初湯はいつも以上に熱く、常連もお腹を真っ赤にして早々に上がっていきました。御所市の皆様石鹸から干支石鹸をゲット。これ、まだ飾ってます。

・2022年2月20日


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すっきり晴れたけどまだまだ寒く、一ツ橋餅店の跡にできたチョコレート屋さんでチョコチャイを入れてもらいました。これが熱々で、ふーふーしながら栄湯へ。湯船のお湯も熱々だけどこちらはふーふーしたくらいでは冷めません。誰かが水をひねってくれたので、その恩恵にあずかります。

・2022年3月19日


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奈良の鍋ルームをたたむ前に、いったん奈良とお別れの入浴です。玄関では桃の花がきれいに咲いていましたが、ここは五條なのでまだまだひんやりしています。この時ばかりはいつもの熱い湯も適温に感じられました。身体冷えてたんやろな。

・2022年7月23日


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ひとり、東京から急きょ駆けつけました。

『おかえり!』「嘘やって言うてくださいよ」『おっちゃんらそろそろ夏休みがほしいねん』。脱衣所には常連が置きっぱなしの風呂セットがたくさんあり、本当に終わるのか実感を持てないままでした。お湯はいつも通り熱く、この日もお客さんが頑張って水を入れ続けていました。

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風呂上がり、栄湯の名前が入ったLEDライトを渡されました。実はこれ、もう何年も前から廃業記念品として客に配ろうと用意されていたそうなのです。


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でも、それから『旅先銭湯④』が出て、『ちちんぷいぷい』に紹介され、朝日新聞は松本さんのデジタルマガジンで、毎日新聞は奈良支局の若い記者による取材で大きく取り上げました。その都度、よそから人がやってきて、ファンが増えていきました。

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以前、旅の人間が風呂に気分よく浸かりに来るだけでも、それが何コンボか続けば地方の風呂屋のモチベーションを保てるのではと書きました。栄湯もまさに、遠くのファンに励まされてここまで来れたんではないかと(手前味噌かもですが)思います。

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でも、廃業という事実は重く受け止めないといけません。前に敷島温泉が閉まった時に気になったのは、風呂おたくを含め大体みんな廃業を「仕方ないよね」「時代の流れやね」という一言で済ましていたことでした。自分ら悔しくないんかよと。もっと感情を出して、これ以上こんなことが他で起きひんようにしやなあかんのちゃうんかよと。

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そんな私たちも奈良を離れてしまったのであんまり偉そうなことは言えません。それに、経営を継ぐとか、なにかお手伝いするとか具体的な行動にも出られませんでした。

これから大切にしたいこと。風呂屋が無くなったからといって、五條に行くのをやめないこと。栄湯があったことを忘れず、ときどき大将に顔を出すこと。そして、現在も頑張っている風呂屋に浸かりに行き続けること。

正直、この廃業の知らせで五條に風呂屋があることを初めて知った近くの人もいるでしょう。行ってみたかったと少しでも思われたら、今ある風呂屋に足を運んでみてほしいです。奈良の風呂も厳しい状況が続いていますが、今からでもそうすれば何かしら変化があるかもしれません。

ひとまず、栄湯の皆さん長らくの間お疲れ様でした。この上ない、最高のお湯、最高の空間でした。