muscle_nabe’s blog

奈良と鍋を愛するマッスル鍋の公式ブログです。

2022年 個人的に行ってよかった銭湯まとめ

推しは推せるときに推せ、という言葉が、年々その重みを増してきているように感じられます。暮れゆく今年も、さまざまなジャンルで大きな絶望を味わった方々がたくさんいたと聞きます。

レトロなお風呂屋さんが推しの対象という、きわめて特異で健康的な趣味の者としては「いま行くか、一生悔やむか」がすべてです。今年は特に多くの尊い浴場がのれんを下ろしてしまいました。でも明るい話題だってたくさんあります。来年は推すものがないという事態にならぬよう願いながら、この1年で訪れてよかったお風呂屋さんを振り返ってみます。

1.宝湯(奈良県御所市)

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五條の栄湯さんを失って3ヵ月。まさかの隣町で、廃業銭湯が奇跡の復活を遂げました。これは今年一番めでたいです。


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綺麗でコンパクトで、古くからの設備が大事にされていて、これは流行りそうな予感。しかも奥にサウナが増築してあり、都会だと数千円はかかるというフィンランド式のサウナが、ここでは千円もいきません。テレビもBGMもなく、照明を控えめにした空間で、瞑想にふけるようにしながら時間が過ぎていきます。


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外気浴スペースもあります。黒い天井やと思ってたらお星さまが見えました。女湯のスペースも特別に見せてもらいましたが、植栽があってまた違う雰囲気が出ています。こだわりが細かいなあ。


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初めて来たときはもう閉店も近い時間でしたが、若い客が何人もいました。21時台の御所の旧市街地とは思えない光景でした。大将はマッスル・コミッショナーと同い年らしいです。これからも、奈良の田舎でもやれんねんぞという姿を見せていってほしい。長ーくずーっと応援したい銭湯です。

2.稲荷湯(東京都北区)

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ここはテルマエ・ロマエのロケ地としてあまりにも有名ですが、この1、2年ほどは大きな動きがありました。「危機遺産」に指定されたことで、存続のための大きな支援が寄せられたのです。その一環で6月、隣接地に「長屋」がオープンしました。


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長屋はもともと敷地内に残存していたようなのですが、またたまらない渋さなんですよねえ。しかもここで風呂上がりのビールが提供されるという、あまりにも完璧な銭湯リノベ例をやってくれましたあっぱれ。

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プレオープンのときは、朝風呂の特別営業からの長屋で朝ごはん提供という、ぜいたくな計らいがありました。ものすごい人数が滝野川の路地に集っていて、レトロ銭湯の求心力を強く実感したものです。

「でも東京だからできたんでしょ」という声に対しては、個人的には違うと思っています。

3.ぬる湯旅館(福島県三春町)

いわゆる「泊まれる銭湯」で、旅館業が主体ではありますが、浴場組合にも入っているようで、お風呂のみの利用もできるところ。

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この夏、宿泊で利用してみました。お宿はとても綺麗で明るい、現代の佇まい。しかしこの後、お風呂へのアプローチで心を鷲掴みにされたのでした。

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階段の途中にある意味ありげな扉を開けると…。

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今は基本的に使われていない、戦前からの旧館が出現!ここを通り抜けていきます。


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味のある階段を下りて右へ折れると、どーんと煉瓦造りのお風呂場が!


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旧館とお風呂場の間は土間になっていて(画像真ん中)、土間の先は色ガラスの扉が美しいお風呂場用の玄関(画像右)につながっていました。ここで宿泊客とお風呂だけの客の動線が合流するわけです。この通路が好きで、日が暮れてからも通ったり眺めたりしていました。

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外観も素敵。ぱかっと屋根の開く模型で再現してみたくなるような、わくわくする構造でした。

4.松の湯(千葉県東金市)

銚子、佐原、勝浦、そして東金。千葉県で「松の湯」との屋号がつくところはみんな味があります。

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入口からもうそのあたたかな空気は十分に漂っていました。明かりは控えめで、浴槽はきわめて静寂。そうです、機械が回っていないのです。千葉にもあったんだと思いました。外からはこおろぎの声だけが聞こえてきます。大分麦焼酎のCMが好きな人は分かるはずです、この胸がきゅってなるのに心地いい感じを!

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風呂を上がると、女湯側は消灯されていました。いよいよ商売にならないよとボヤく大将は今年で87歳。息子さんは気にかけて毎週のように来てくださるようですが「今の客数じゃ継がせられないかな」と。

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ちなみにこの時、脱衣所のテレビは偶然にも梅湯を再建した湊さんのドキュメンタリを映していました。大将はしばらく見ていましたが、途中で電源を切ってしまいました。

具体的な行動に出られなくとも、そんな大将に寄り添ってくれる人がもう少しいればいいなと思います。

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それは助けたいだとか、守りたいだとか、そういう大げさな装いじゃなくてもいいのです。ふらっと現れて、ここいいですね、また来ますねと言うだけでも、やりがいを支える存在になれるはずです。その存在がもっと広がってたくさんになれば、どうにかなる可能性はまだまだあると思います。

来年は生田斗真・橋本環奈ほか主演の映画『湯道』が公開になります。サ道から湯道へ。橋環から銭湯へ。少しでもこのジャンルにファンが増えて、今にも心が折れそうなお風呂屋さんに、お湯よりもあたたかなエールが届きますように!良いお年を!!

(浴室内の写真撮影は許可を得ています)

マッスル鍋納会スペシャル

やっぱり奈良寒いですね。29日は久しぶりに、奈良女の北のトランキーロさんをお借りしての納会スペシャルでした。

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鍋は2台体制。鳥良さんの鴨に、魚智さんのぶり、きたまち豆腐さんのきぬ、そしてマッスル鍋公認(?)の鍋専用酒、春鹿さんの旨口四段仕込が据えられ、ここに奈良町最強の鍋が完成しました。

どのお店も正月商品の用意で忙しそうにしていました。久しぶりににぎやかな奈良の年末を見た気がします。

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ぶりは腹身だったのでじゅわっと魚の脂が出て旨口四段仕込によく合いました。鴨の方は最後の出汁が美味すぎて、雑炊にすらせずにひたすらすくって啜る事態に。しあわせな時間でした。

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スローガンとまではいかずとも「3年ぶんの贅沢をしよう」というのが何となくの行動方針みたいになっています。これまでの3年間はコロナ禍で十分な回数をできないまま、みんなが社会人になってますます開催頻度が低くなりました。

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けれども、頻度が少ないってことは、これまでの数回分の予算を一気に投下できることでもあります。いい鍋のためには惜しみなく金を使う。この冬は「大人になったマッスル鍋」みたいなものを意識したいと思っています。

……と言いつつ、今回の鍋、計算してみたら酒代も含めて1人あたり1700円ちょいでした。外で食べたらなんぼしたでしょうか。これだから鍋は素晴らしいのです。

マッスル鍋の第10シーズンがスタート

約9時間、ずっとすき焼きしてました。

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これだけの長さは、始まって以来の記録かもしれません。思えば前シーズンの閉幕から8カ月の間、あるいはそれ以上、会っていなかった人もいました。いろいろな隔たりによって失われたものをすべて取り戻そうとせんばかりの勢いでした。


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開幕投手は2季連続で杣本さんの大和牛にしようと考えていましたが、マッスル鍋淡路島支部長(?)が淡路ビーフを引っ提げて2年ぶりに来寧し、ブランド和牛2キロ体制でめちゃくちゃ豪華な内容になりました。淡路はいつも通りクリーミーで、それに比べたら大和は牛肉!!って感じでした(?)。どちらもとにかく濃かった…。

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対して、玉子は安定のそまのかわファームさんの地卵を使用。絶対に玉子かけご飯で使うべきやんなーと思いつつ、惜しげもなく使わせてもらいました。どっかで罰が当たることでしょう()

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今季はこれまでのシーズンほど頻繁にできるかは分かりませんが、こんだけ威勢よく始めることはできました。拠点を持たないからこそ、いろんな場所でいろんな鍋をして、この冬も乗り切っていきたいと思います。

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来てくれた皆さんからは加賀麩や地酒、畑の玉ねぎなどたくさん差し入れをもらいました。

また、開幕戦の場所は二上山のふもとにあるマッスル・コミッショナーのおばあちゃんのお家を特別にお借りしました。そのご厚意がなければ開幕できていたかどうかも怪しいので、合わせてこの場より感謝したいです。

※次回の鍋は12月29日の予定です!年末スペシャル!

マッスル鍋の定番たち

みるみるうちに日が短くなって、朝晩はひんやり感じることも増えてきました。鍋軍団にとっては待ちに待ったシーズンの到来です!今季も11月19日に開幕です。

さて。160回も鍋をしていると、おのずと「定番」の具材やら調味料やらが出てきます。迫りくる鍋シーズンに向けて、備忘録も兼ねつつ、うちの定番とやらを整理したいと思います。これを見ればあなたのおうちの鍋もマッスル風味に(?)

【だし】味の兵四郎 あご入兵四郎だし

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画像は2014年の第2シーズン(秋華祭の前夜の前夜)ですが、その時にはすでに使っていました。パッケージが先代で懐かしいですね。これがあればそれでいいってぐらいです。出汁にしては結構なお値段ではありますが、惜しげもなく使っています。

魚の風味が強く、しゃぶしゃぶ、水炊き、ちゃんこ、何にでも合います。鍋ではいつも水から煮出し、締めが雑炊の時は袋を破って中身を入れます。鍋の終わった後、だいたいこの出汁のいい匂いが部屋にも残ります。

【ぽん酢】日本丸天醤油 天翔ゆずぽん酢

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これもマッスル鍋初期からの愛用品です。発売されて以来のファンかもしれません。

いつ開けてもさわやかな柑橘の香りと、そこまでくどくはないだし醤油の風味が「料亭っぽい味」を演出してくれます。わざと酸味料を足したような巷のぽん酢にはもはや戻れません。が、これが買えないときは業務スーパーのゆずぽん酢も結構好きで使っています。どっちもコスパは抜群といえます。

【薬味】山清 鬼びっくりシリーズ

 

初めて出合ったのは香川のうどん店。マッスル・コミッショナー好みの、しっかりと辛い唐辛子です。が、なんというかただただ辛いんではなく、品性を感じる香りと風味があって、先ほどのあご出汁などとは抜群に相性がいいのです。

讃岐うどんツアーのたびにおみやげとして買って帰っていましたが、奈良でもハーベスやならファミリー内の食料品店にあることが判明。七味、一味、粗びき唐辛子とありますが、一番減りが早かったのは粗びき唐辛子やったかな。

ぱっと思いついたのは以上ですが、まだ何か定番があったような気がしなくもないです。開幕すれば思い出すかも。

栄湯とマッスル鍋の2年ちょい

前代未聞、風呂屋で鍋をした伝説の日に先駆けること1日、2020年の2月22日夜に、鍋軍団ははじめて五條の銭湯「栄湯」に浸かりに行きました。

明日の鍋よろしく、の挨拶的にみんなで行ったんですが、その時から大将は、もう風呂やめるし、最後の思い出づくりやと話していました。

奈良市からも車で50分はかかる五條。あれからこんなに通うとは、こんなにハマるとは思ってなかったのです。

・2020年8月8日


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鍋から半年後、「まめすず」のお菓子を持って再訪しました。半年も空いたのは未知なる感染症にビビりまくっていたからです。さっぱりした後は、近くの粉もん「いのうえ」で、餃子の入ったお好みを食べるなどしました。未知なる味でした。

・2020年12月31日


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奈良よりも南の五條が銀世界なんでびっくりしたもんです。大晦日なのに、大将は熱々の湯を沸かしてくれていました。爆速で温もった記憶があります。

・2021年2月14日


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栄湯が『ちちんぷいぷい』で紹介されて、関西一円から人が来ていると大将も嬉しそうでした。帰りはずっと気になっていた「ミスター博」に行ってやきめしを頼みました。美味かった。

・2021年4月3日


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だんだんと月参りのように。おかみさんからフキの佃煮をいただきました。絶妙に甘辛くて美味しかった。ここ来たら珍しい食べもんいっぱいあるからなと、おばあちゃんの家に来た時みたいなことを言われました。

・2021年6月19日


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梅雨真っ盛り、雨上がりの五條へ。大将が見たこともないTシャツを着ていました。「それ何ですか?」『息子が作ったんや』「ほしい!」すぐ発注。届くまで1カ月ほどの待ちぼうけ。カランの水がキンキンに冷えてて気持ちいいです。さすが金剛山の水です。

・2021年7月10日


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この日は電車で五條まで。乗り換えが3回もあります。県内から県内なのに大変めんどくさいです。でも車窓はのどかで、栄湯までの道のりだと思えば癒しかもしれません。頼んでいたTシャツと、いつもの缶コーヒーをもらって帰ります。

・2021年8月28日


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高校野球の決勝でついに「智弁智弁」が実現することに。智弁学園の地元五條民も「とりあえずどんなんか見てみたい」と楽しそうでした。夏モードの暖簾がいい感じ。おかみさんから今度は手作りの柿の葉寿司をいただきました。開けたら炊いた松茸が乗っていてびっくりしました。

・2021年9月26日

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常連と不意に、このロッカーの漢数字の字体めちゃくちゃクセあるなって話になりました。誰かが手彫りしたんでしょうか。『旅先銭湯』の松本さんが寄稿したウェブマガジンがよく読まれていて、またちょいちょいよそから人が来るようになっていました。

・2021年11月21日


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「今年はいうほどなってない」と聞いていた五條の柿。栄湯に行ってみたらなんですかこの数は。番台にも傘立てにも、びっくりするほどデカい柿が置いてありました。大将がどこかに行った隙に、持ってってええよと常連に言われたけどやめときました()

・2022年1月4日


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ハッピーニュー五條。それにしても寒かったです。大将も今年は寒いどとボヤくほど。初湯はいつも以上に熱く、常連もお腹を真っ赤にして早々に上がっていきました。御所市の皆様石鹸から干支石鹸をゲット。これ、まだ飾ってます。

・2022年2月20日


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すっきり晴れたけどまだまだ寒く、一ツ橋餅店の跡にできたチョコレート屋さんでチョコチャイを入れてもらいました。これが熱々で、ふーふーしながら栄湯へ。湯船のお湯も熱々だけどこちらはふーふーしたくらいでは冷めません。誰かが水をひねってくれたので、その恩恵にあずかります。

・2022年3月19日


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奈良の鍋ルームをたたむ前に、いったん奈良とお別れの入浴です。玄関では桃の花がきれいに咲いていましたが、ここは五條なのでまだまだひんやりしています。この時ばかりはいつもの熱い湯も適温に感じられました。身体冷えてたんやろな。

・2022年7月23日


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ひとり、東京から急きょ駆けつけました。

『おかえり!』「嘘やって言うてくださいよ」『おっちゃんらそろそろ夏休みがほしいねん』。脱衣所には常連が置きっぱなしの風呂セットがたくさんあり、本当に終わるのか実感を持てないままでした。お湯はいつも通り熱く、この日もお客さんが頑張って水を入れ続けていました。

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風呂上がり、栄湯の名前が入ったLEDライトを渡されました。実はこれ、もう何年も前から廃業記念品として客に配ろうと用意されていたそうなのです。


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でも、それから『旅先銭湯④』が出て、『ちちんぷいぷい』に紹介され、朝日新聞は松本さんのデジタルマガジンで、毎日新聞は奈良支局の若い記者による取材で大きく取り上げました。その都度、よそから人がやってきて、ファンが増えていきました。

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以前、旅の人間が風呂に気分よく浸かりに来るだけでも、それが何コンボか続けば地方の風呂屋のモチベーションを保てるのではと書きました。栄湯もまさに、遠くのファンに励まされてここまで来れたんではないかと(手前味噌かもですが)思います。

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でも、廃業という事実は重く受け止めないといけません。前に敷島温泉が閉まった時に気になったのは、風呂おたくを含め大体みんな廃業を「仕方ないよね」「時代の流れやね」という一言で済ましていたことでした。自分ら悔しくないんかよと。もっと感情を出して、これ以上こんなことが他で起きひんようにしやなあかんのちゃうんかよと。

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そんな私たちも奈良を離れてしまったのであんまり偉そうなことは言えません。それに、経営を継ぐとか、なにかお手伝いするとか具体的な行動にも出られませんでした。

これから大切にしたいこと。風呂屋が無くなったからといって、五條に行くのをやめないこと。栄湯があったことを忘れず、ときどき大将に顔を出すこと。そして、現在も頑張っている風呂屋に浸かりに行き続けること。

正直、この廃業の知らせで五條に風呂屋があることを初めて知った近くの人もいるでしょう。行ってみたかったと少しでも思われたら、今ある風呂屋に足を運んでみてほしいです。奈良の風呂も厳しい状況が続いていますが、今からでもそうすれば何かしら変化があるかもしれません。

ひとまず、栄湯の皆さん長らくの間お疲れ様でした。この上ない、最高のお湯、最高の空間でした。

今さらながら'21-'22シーズンの鍋を振り返る

タイトルの通りです。去年よりかは早い時期にまとめる気がおきたか。

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9シーズン目となる昨季は10月30日にスタートしました。一発目から奈良奈良したすき焼きでした。何もかも味が濃かったなあ。この記事に詳しくあるのでここでは割愛します。

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ちなみにこの日の感染者数、県で6人。

ろくにん!

この頃はもっと寒くなったら福岡へ鍋合宿に行こうかなんて話をしていましたねえ(遠い目)。

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「昼鍋」というものを始めたのもこのシーズンからでした。みんなの生活リズムに合わせた設定のつもりでしたが、それでも休みが合わないことばかりで、結局昼鍋も2回止まり。ほどなくして感染大爆発の年始を迎えることになります。

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杣本の豚で2021鍋納め。

開幕時は、この2年で失ったものを取り戻すなどと勇ましいことを言っていましたが、まんま前シーズンの焼き直しに。

その中でも楽しかったのは、2月の終わりにやったリモート鍋でした。

 

この日奈良とつないだのは福島、東京、能登、岐阜、淡路島、福岡の各地。かつて奈良で共に鍋をつついた皆さんも、こんなに散り散りになっていたのです。

鍋ルームがなくなるのも無理はありません。

3月20日

第9シーズン、そして3年半を過ごした鍋ルームの締めくくりを飾ったのは、手貝町の鳥良さんが用意してくださった鴨鍋でした。

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分かっていたけれど、出汁がえげつないほど美味くて余すところなくいただきました。鍋っていいもんですねえ。これまで鍋ルームに集まってくれた皆さん、本当にありがとうございました。

 

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約2週間後、マッスル鍋の始祖(?)2人のうち、コミッショナーじゃないほうは奈良じゃないほうへ移住しました。おそらく期限付きなので、10周年の時は奈良に帰還していたいですが、どうなることやら。マッスル鍋としては奈良以外に拠点を持つ考えはありませんが、よその土地でどんな展開ができるのか、考えるきっかけにはしたいと思っています。

あと、来シーズンこそは福岡に行きたい。

グランドフィナーレの先に

「大人になっても奈良でバカをやる」

マッスル・コミッショナーがそう宣言したのはマッスル鍋5周年を控えた2018年の秋でした。発祥の地だった高天のアパートを返し、奈良から離れること2年半、鍋専用ルームとともに奈良へ返り咲いたことを知らせるものでした。

約70回もの鍋をここで開いてきましたが、それからさらに3年半が経った今月、休日の不一致や転出増といった大人のような理由で幕を下ろすことになってしまいました。

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ぼーっとしている間に退去期限が迫り、3月の3連休の真ん中で、鍋専用ルームのグランドフィナーレを行いました。すぐさま翌日に総力を上げてモノを運び出した結果、わずか半日で部屋はすっからかんに。

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その夜も部屋で鍋になりました。本当の最後には、鍋だけになった部屋で鍋をしてみたいというひそかな夢が叶いました。

視界はすっきりし、いろんな音がやたらと響くので、寂しさが漂います。けれどもマッスル鍋のあゆみは、こうした別れの繰り返しでもありました。今回のそれを乗り越える力にしたいのは「大人になっても"奈良で"バカをやる」との、コミッショナーの宣言です。

マッスル鍋は奈良で生まれ奈良に育ててもらいました。大学を出た後もずっと奈良に通っているので、なぜか笑われたりもしました。が、普段は県外で働く私たちにとって、もはや奈良は職場と反対方向の電車で向かう、自分を回復させるための場所に他なりません。

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いつでも好きに使える拠点は奈良から無くなりました。転任のために遠くへ離れざるを得なくなった人もどんどん増えています。そんな今こそ初心をあきらめず、奈良への気持ちを温め続けないといけないなと思います。別に奈良じゃなくてもいいやと思った瞬間、この集まりは崩壊するでしょう。

そういえば発祥の地を引き払った時も、おのずと新しい展開を試行錯誤しながら、最終的に鍋専用ルームを持つことへ行き着きました。もしやこれも、2度目の変革期かもしれません。次はいよいよ10シーズン目になります。